2026/07/03 19:12
同じ「インディアンジュエリー」でも、作り手の部族によってこんなに違うのか。そう気づいた瞬間から、この世界は一気に奥行きを増します。今日は、代表的な4つの部族の話を。
■銀を最初に手にした、ナバホ族
19世紀半ば、部族として最も早く銀細工を始めたのがナバホです。彼らのジュエリーの主役は、何より銀そのもの。厚みのあるシルバーにタガネで一打ちずつ模様を刻むスタンプワークには、打つ人の呼吸がそのまま残ります。同じ刻印を使っても、同じ模様は二度と生まれない。スカッシュブロッサムネックレスもコンチョベルトも、この部族から生まれました。当店のヴィンテージカフの多くも、このナバホの流れをくむものです。
■「石の部族」と呼ばれる、ズニ族
ズニの仕事を見ると、銀は石のための器なのだと分かります。針先ほどの大きさにカットしたターコイズを何十石と並べるニードルポイント、石と石を隙間なく敷き詰めるインレイ。気の遠くなるような手仕事の先に、あの繊細なきらめきがあります。動物を彫ったお守り「フェティッシュ」もズニの伝統です。
■銀だけで語る、ホピ族
ホピの代名詞はオーバーレイ。2枚の銀板を重ね、上の1枚を切り抜いて模様を浮かび上がらせる技法です。石はほとんど使いません。切り抜かれた陰影が、雨や雲、とうもろこしといった祈りのモチーフになる。マットな黒と磨かれた銀のコントラストが知的で、どこか現代的にも見えるのが面白いところです。
■金属より遥かに古い、サントドミンゴ(ケワ・プエブロ)
銀が伝わる何千年も前から、この部族はビーズを作っていました。シェルやターコイズを薄い円盤に削り、穴を開け、磨きながら連ねていくヒシビーズ。ひと粒ひと粒は小さな仕事でも、連なると色彩のリズムが生まれる。鳥や動物を彫ったフェティッシュネックレスもこの部族のお家芸です。当店で扱うMary & Gerard Calabazaのヒシビーズや、ヴィンテージのフェティッシュネックレスは、この長い長い伝統の延長線上にあります。
■見分けられると、もっと面白い
・重厚な銀+スタンプ模様 → ナバホ系
・細かい石の集合体 → ズニ系
・銀だけの切り絵模様 → ホピ系
・シェルや石のビーズ → サントドミンゴ系
もちろん例外もたくさんあります。部族を越えて技法が交差し、新しい作り手が伝統を更新していく。その揺らぎごと楽しむのが、インディアンジュエリーの一番の醍醐味だと思います。気になる作品があったら、商品ページの「背景」欄ものぞいてみてください。
